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ExpressLRS送信機のファームウェアをアップデートする方法

ExpressLRSは開発中のプロトコルであるため、頻繁にバージョンアップが続いています。 ここでは、ExpressLRS送信機のファームウェアをアップデートする方法を紹介します。

アップデート方法の基本

アップデートは、パソコンにインストールした ExpressLRS Configurator を使って行います。 アップデートの方法には、USBケーブル(UART)を使う方法と、Wifiを使う方法があります。
USBケーブルを使う場合には、送信機がパソコンのCOMポートに接続されます。 ExpressLRS Configuratorでファームウェアをビルドすると、つづけて送信機が更新されます。
Wifiを使う場合は、送信機がWifiアクセスポイントとして動作します。 ExpressLRS Configuratorでファームウェアをビルドした後、送信機をWifiモードにしてパソコンと接続します。 そして送信機にファームウェアをアップロードして更新します。 ただし製品によってはWifi機能を搭載していない場合があります。この時はUSBケーブルでアップデートします。
ファームウェアの更新は何度でも行うことができます。 たとえば「Binding Phrase(バインディング・フレーズ)」を変更するために、 同じバージョンのファームウェアを何度も書き込んでもかまいません。
なお、送信機と受信機(ドローン)のメジャーバージョン(一つ目の数字)は一致させる必要があります。 送信機をバージョンアップするときは、使用する受信機も同じバージョンが使用できることを確認してください。 なお、マイナーバージョン(二つ目の数字)、パッチバージョン(三つ目の数字)は一致していなくてもかまいません。

ELRS Luaスクリプトのバージョンアップ

マイナーバージョンアップの場合でも、ELRSのバージョンアップに伴い、ELRS Luaスクリプトも更新されることがあります。 送信機のファームウェアをバージョンアップするときは、ELRS Luaスクリプトも最新版をダウンロードしておきましょう。

バージョン2.xから3.xへのアップデート:Bad Size Givenエラーへの対応

送信機のモデルによっては、バージョン2.xから3.xへアップデートすると「Bad Size Given」エラーが表示される場合があります。 これを解決するには、一旦特別なファームウェア repartitioner をインストールして送信機のストレージのパーティションサイズを変更したのちに、バージョン3.xファームウェアをインストールします。
なお、この手順が必要なのは、Wi-Fi経由でアップデートする場合のみです。 USB(UART)経由の場合は必要ありません。
  • 送信機のファームウェアを、バージョン2.5.1以降にバージョンアップします。
  • Wi-Fi経由で、送信機のブラウザ画面に repartitioner.bin をドラック&ドロップしてインストールします。 インストール時に「Target Mismatch(対象が不一致)」エラーが表示されるので、「Flash Anyway(無視して更新)」をクリックしてインストールします。
  • 送信機が何度か再起動したのちに、Wi-Fiモードに切り替わります。
  • Wi-Fi経由で、送信機のブラウザ画面にバージョン3.xファームウェアをドラック&ドロップしてインストールします。
あなたの使用している送信機に repartitioner のインストールが必要か否かは、ExpressLRSオフィシャルサイトの Quick Start ガイド画面で、メニューから[Transmitters]-[Updating Transmitters]-[(送信機モデル名)]画面を開くと確認できます。
送信機モデル名の画面に、右図に示したような注意書きがある場合は、repartitionerのインストールが必要です。

USB経由の場合:CP210xドライバーのインストール

パソコンにELRS送信機を接続する前に、まずパソコンにUSB-UARTブリッジドライバーをインストールします。
PC Silicon Laboratories社の CP210xドライバー のページを開きます。 そして「DOWNLOADS」メニューをクリックします。
PC Windowsの場合は「CP210x Windows Drivers」を右クリックし、「名前を付けてリンク先を保存」などのメニューを選びます。 すると「CP210x_Windows_Drivers.zip」といったファイル名のファイルが得られるので、任意のフォルダで解凍します。
PC 解凍すると、このようなファイルが現れます。 64bit Windowsを使用している場合は「CP210xVCPInstaller_x64.exe」をクリックします。 32bit Windowsを使用している場合は「CP210xVCPInstaller_x86.exe」をクリックします。
PC ドライバーのインストーラーが起動します。 「次へ」をクリックします。
PC 使用許諾契約の確認画面が表示されます。 内容を確認したら「同意します」にチェックして、「次へ」をクリックします。
PC インストールは一瞬で完了します。 「完了」をクリックします。

USB経由の場合:送信機をパソコンに接続する

PC 送信機にアンテナを取り付け、プロポの電源を入れて、ELRS送信機とパソコンをUSBケーブルで接続します。 OpenTX/EdgeTXで通信プロトコルに「CRSF」を指定したMODELを選択すると、ELRS送信機が起動します。
ただしファームウェア書き換え時にDIPスイッチの切り替えが必要な製品は、下記のELRS送信機単体でアップデートする方法を使います。
PC ELRS送信機に電源コネクタがある場合は、送信機単体でアップデートすることもできます。
送信機にDIPスイッチがあるときは、適切に切り替えます。 送信機にアンテナを取り付け、仕様に合った電源を接続して、起動します。 電源には2S LiPoバッテリーの使用が推奨されています。 3Sバッテリーは電圧が高すぎるので使えません。
そしてUSBケーブルでパソコンと接続します。
なお送信機は、単体で起動した後約60秒(時間はファームウェアの設定による)放置すると、WiFiモードに切り替わります。 ディスプレイにはSSID(ExpressLRS TX)、パスワード(expresslrs)、そしてIPアドレス(10.0.0.1)が表示されます。 送信機がWiFiモードになっていても、そのままUSB接続でファームウェア更新することが可能です。
PC Windowsデバイスマネージャー画面を開きます。
そして「ポート(COMとLPT)」欄を展開したときに「Silicon Labs CP210x USB to UART Bridge」という表示があれば、接続成功です。
Windowsデバイスマネージャー画面の開き方
[スタート]-[すべてのアプリ]-[Windousツール(Win11) / Windous管理ツール(Win10)]を開き、「コンピュータの管理」をダブルクリックして起動します。 そして左のメニューから「デバイスマネージャ」をクリックします。
または [スタート]-[Windowsシステムツール]-[コントロールパネル]を開き、 [システムとセキュリティ]-[システム]-[デバイスマネージャー]から起動します。

USB経由の場合:送信機ファームウェアのビルドと更新

ファームウェアのビルドと更新には ExpressLRS Configurator を使います。 なお、事前に Betaflight Configurator など、COMポートを使用するソフトは終了しておきます。
PC ExpressLRS Configuratorを起動し、左のメニューから「コンフィギュレーター」を、上のメニューから「公式リリース」を選びます。
"リリース"欄で、インストールするファームウェアのバージョンを選びます。 初期値は最新バージョンが選択されています。
"デバイスのカテゴリ", "デバイス"欄で、対象となるデバイスを選択します。 送信機の場合は、デバイス名に"TX"と含まれていると思います。
"フラッシュ方法"欄で、ファームウェアの書き込み方法を指定します。 USB経由の場合は「UART」を選択します。
なお、ここに表示される「LUAスクリプトをダウンロード」ボタンをクリックすると、プロポに格納する ELRS Luaスクリプトがダウンロードできます。
デバイス名が分からない!?
選択すべきデバイス名が分からないときは、送信機をWiFiモードにしてパソコンからアクセスしてみてください。 するとターゲットデバイス名と現在のELRSバージョンを見ることができます。 詳しくは WiFi経由の場合:パソコンを送信機に接続する をご覧ください。 ただしWiFiモードを持たない送信機もあります。
PC 画面をスクロールすると、オプションが選択できます。
規制ドメイン
2.4GHz帯をEU圏で使用する場合は"EU_CE_2400"、EU圏以外で使用する場合は"ISM_2400"を選択します。
バインディングフレーズの設定
"任意のバインディングフレーズ"と書かれているところには、送信機と受信機のバインドに使う“合言葉”「Binding Phrase(バインディング・フレーズ)」を指定します。 送信機と受信機双方に同じフレーズをセットしておくと、ただ電源を入れるだけで自動的にバインドされます。 なお、"BINDING_PHRASE"のチェックを外すと、「Binding Phrase」を使わずに、マニュアルでバインドすることができます。
ネットワーク
"AUTO_WIFI_ON_INTERVAL"欄で、電源投入からWi-Fiモードに切り替わるまでの時間が指定できます。 単位は秒、初期値は60秒になっています。
このほかのオプションの詳細については、ExpressLRS オフィシャルサイトの下記ページで読めます。
PC オプションの選択が終わったら、画面をスクロールして「フラッシュ」ボタンをクリックします。
PC するとファームウェアのソースコードのダウンロード、ビルド、そして送信機への書き込みが始まります。 完了まで数分から十数分かかります。
PC 書き込みが成功すると、この図のように、緑色の背景に「成功!」と表示されます。 送信機(プロポ)を電源OFF->ONして再起動します。
以上でファームウェアのアップデートは完了です。
PC 処理が失敗すると、このように赤い背景にエラーメッセージが表示されます。 「Error:」と書かれている場所を見て、エラーの原因を探ります。 この図の例では「specify 'upload_port'」と表示されているので、ELRS送信機がパソコンから見えていないことが想像できます。 USBケーブルをしっかり差し込むことで解決しました。
この画面で「BACK」ボタンをクリックすると、ビルドがやり直せます。

WiFi経由の場合:送信機ファームウェアのビルド

USB経由の場合の手順 と同様に、パソコンで ExpressLRS Configurator を使って、送信機ファームウェアのビルドを行います。
PC ExpressLRS Configuratorを起動し、左のメニューから「コンフィギュレーター」を、上のメニューから「公式リリース」を選びます。
"リリース"欄で、インストールするファームウェアのバージョンを選びます。
"デバイスのカテゴリ", "デバイス"欄で、対象となるデバイスを選択します。 送信機の場合は、デバイス名に"TX"と含まれていると思います。
"フラッシュ方法"欄で、ファームウェアの書き込み方法を指定します。 WiFi経由の場合は「WiFi」を選択します。
また、オプションは USB経由の場合の手順 と同じように指定します。
なお、ここに表示される「LUAスクリプトをダウンロード」ボタンをクリックすると、プロポに格納する ELRS Luaスクリプトがダウンロードできます。
デバイス名が分からない!?
選択すべきデバイス名が分からないときは、送信機をWiFiモードにしてパソコンからアクセスしてみてください。 するとターゲットデバイス名と現在のELRSバージョンを見ることができます。 詳しくは WiFi経由の場合:パソコンを送信機に接続する をご覧ください。 ただしWiFiモードを持たない送信機もあります。
PC オプションの選択が終わったら、画面をスクロールして「ビルド」ボタンをクリックします。
なお、過去にオプション「HOME_WIFI_SSID」と「HOME_WIFI_PASSWORD」を設定したファームウェアを書き込んでいた場合は、 送信機をWiFiモードにすると、家庭内LANに接続されます。 この場合は「フラッシュ」ボタンをクリックすれば、ファームウェアの書き込みまで一気に行うことも可能です。
PC ビルドが成功すると、この図のように、緑色の背景に「成功!」と表示されます。
PC そしてエクスプローラーが起動し、完成したファームウェアのバイナリファイルが格納されているフォルダが開きます。 ここには「firmware.bin」というファイルが格納されています。
後で送信機への書き込みを行うため、このエクスプローラー画面は閉じずにそのまま残しておきます。 なお、ファームウェアの格納フォルダは"C:\ユーザー\[ユーザー名]\AppData\Local\Temp"の下に生成されます。

WiFi経由の場合:送信機をWiFiモードに切り替える

PC プロポの「RADIO(SYSTEM)メニュー」の"TOOLS"画面から「ExpressLRS」Luaスクリプトを起動し、 [WiFi Connectivity]-[Enable WiFi]を選択します。 すると送信機がWiFiモードに切り替わります。
「ExpressLRS」Luaスクリプトの使用方法については ExpressLRS送信機の設定方法 をご覧ください。
PC あるいは送信機にディスプレイとジョイスティックが付いている製品では、これを使って設定することもできます。 プロポの電源を入れて、ELRS送信機のジョイスティックを長押しし、つづいて下に4回クリックして「UPDATE FW」画面を出します。
ELRS送信機のジョイスティック操作方法については ExpressLRS送信機の設定方法 をご覧ください。
PC つづいてジョイスティックを右にクリックすると送信機がWiFiモードに切り替わります。 ディスプレイにはSSID(ExpressLRS TX)、パスワード(expresslrs)、そしてIPアドレス(10.0.0.1)が表示されます。
なお、一旦WiFiモードに切り替わった送信機は、再起動しないと通常モードには戻りません。
PC またはELRS送信機単体でWiFiモードに切り替えてアップデートすることもできます。
送信機にアンテナと、仕様に合った電源を接続して、起動します。 電源には2S LiPoバッテリーの使用が推奨されています。 3Sバッテリーは電圧が高すぎるので使えません。
そして約60秒(時間はファームウェアの設定による)待つと、WiFiモードに切り替わります。 ディスプレイにはSSID(ExpressLRS TX)、パスワード(expresslrs)、そしてIPアドレス(10.0.0.1)が表示されます。

WiFi経由の場合:パソコンを送信機に接続する

PC ELRS送信機がWiFiモードになると、「ExpressLRS TX」という名前のアクセスポイントが現れます。 パソコンでWiFi接続画面を開きます。
なお、ELRS送信機のWiFi電波は非常に弱いので、パソコンを送信機のすぐそばに置いてください。
PC 一覧から「ExpressLRS TX」を選び、「接続」をクリックします。
PC するとネットワーク・セキュリティキー(パスワード)を聞かれるので「expresslrs」と入力して「次へ」をクリックします。
PC 無事パソコンが送信機に接続できると、自動的にブラウザが起動して、IPアドレス"10.0.0.1"が開きます。 あるいは自分でブラウザを起動して、アドレスバーに"10.0.0.1"とタイプします。 ELRSバージョン3.xの場合はこのような画面になります。
送信機の画面は3つあり、画面中央に並ぶ[OPTIONS], [WIFI], [UPDATE]をクリックすると、画面を切り替えることができます。
[OPTIONS]画面では、 Binding Phrase(UID byte), WiFiモードに切り替えるまでの時間(秒), テレメトリーの通知間隔(msec)などを変更したり、その設定ファイルをダウンロードすることができます。
[WIFI]画面では、 送信機のWiFi機能を、アクセスポイントモードとして使用するか、家庭内LANに接続するかを切り替えることができます。 家庭内LANへの接続設定を記憶したまま、一時的にアクセスポイントモードにすることもできます。
PC [UPDATE]画面では、 送信機ファームウェアのバージョンとターゲットデバイス名が確認できます。 また、この画面にある[参照]ボタンにファームウェアのバイナリファイルをドラッグ&ドロップすることで、ファームウェアの更新ができます。
"currently running firmware"の文字をクリックすると、現在送信機に書き込まれているファームウェアをパソコンにダウンロードすることができます。
PC なおELRSバージョン2.xの場合はこのような画面になります。 1画面にすべての情報が表示されます。
画面の先頭部分にターゲットデバイス名と現在の受信機ファームウェアのバージョンが表示されています。 画面をスクロールすると、ファームウェアのアップデートや、各種オプションの設定ができます。
なお、過去にオプション「HOME_WIFI_SSID」と「HOME_WIFI_PASSWORD」を設定したファームウェアを書き込んでいた場合は、 ELRS送信機をWiFiモードにすると、家庭内LANに接続されます。 この時はブラウザから"http://elrs_tx.local"を開きます。

WiFi経由の場合:送信機のファームウェアを更新する

PC ELRS送信機のブラウザの画面で[UPDATE]画面を開きます(Ver.3.x)。 または ELRS送信機のブラウザの画面をスクロールします(Ver.2.x)。 すると「Firmware Update」欄が現れます。
PC 「参照」ボタンをクリックして、ビルドしたファームウェアのバイナリファイルを指定し、「Update」ボタンを押すとファームウェアを更新できます。 ビルド完了時に開いたエクスプローラーから、ファームウェアのバイナリファイルを「参照」ボタンにドラック&ドロップすれば、ファイルが直接指定できます。
PC 「Update」ボタンを押すと、送信機のファームウェアの更新が始まります。 更新にかかる時間は、数十秒から数分程度です。
PC 更新に成功すると、このように「Update Succeeded」と表示されます。 送信機(プロポ)を電源OFF->ONして再起動します。
以上でファームウェアのアップデートは完了です。