初心者のためのBetaflight Configuratorのインストールと使い方
Betaflight Configurator (ベータフライト・コンフィギュレーター)を使うと、ファームウェアにBetaflightを採用しているドローンのFC(Flight Controller)の設定を確認・変更できます。 ここでは、Betaflight ConfiguratorをWindowsパソコンにインストールする方法と基本的な使い方、そして初心者がドローンを入手して最初にチェックすべきいくつかの項目を紹介します。Betaflight Configuratorのダウンロード
Betaflight ConfiguratorはGithubで配布されています。なお、「betaflight-configurator-nightlies」というリンクもありますが、これは Nightly build、いわゆるベータ版なので、動作が不安定であったりバグが含まれている可能性があります。 開発者向けのバージョンなので、一般ユーザーは使用しないでください。
バージョン番号の後ろに"Release Candidate"と書かれているものは、RC(Release Candidate:リリース候補)版です。 RC版は評価中のバージョンであるため、バグを含んでいる可能性があります。 一般ユーザーは極力使用しないでください。
Windowsの場合は「_win64-Insaller.exe」または「_win64-portable.zip」で終わるファイル名をクリックします。 「_win64-Insaller.exe」を使うと、画面の指示に従うだけでインストールできます。
OS | ファイル名 |
---|---|
Windows (8, 10, 11) | betaflight-configurator-[version]_win64-installer.exe |
Mac OS X | betaflight-configurator_[version]_macOS.dmg |
Ubuntu, debian | betaflight-configurator_[version]_amd64.deb |
Red Hat, Fedora, CentOS | betaflight-configurator-[version].x86_64.rpm |
その他のLinux | betaflight-configurator_[version]_linux64-portable.zip |
Android (プレビュー版) | betaflight-configurator-debug-[version]_android.apk |
Betaflight Configuratorのインストール
インストールの終盤で、画面のプログレスバーの進捗がとても遅くなりますが、そのまま放置すればやがてインストールは終了します。
あるいは画面右上にある「自動接続」スイッチをオンにしておくと、USBケーブルを接続するだけでドローンとパソコンが接続されます。
モーターを回さない範囲で、ドローンの設定をチェック・変更する場合は、ドローンにバッテリーを接続する必要はありません。 モーターを回す場合には、バッテリーを接続してからパソコンに接続します。
USBケーブルには、すべての端子が結線された「データ通信用」と、電源系の端子のみが結線された「充電用」の2種類があります。 Betaflight Configuratorと通信するには「データ通信用」を使用する必要があります。 ケータイや充電器、バッテリーなどのオマケについているケーブルには「充電用」のものがあるので注意してください。
ドローンが接続できないときは、一旦Betaflight Configuratorを終了させて、先にドローンをパソコンに接続してからBetaflight Configuratorを起動してみてください。
ドローンをパソコンに接続して、電源が入った状態で長時間置いておくと、VTXが熱を持って暴走し、最悪故障する場合があります。 パソコンとの接続時間は最低限とし、時々カメラに息を吹きかけて冷却してください。 近くに小型の扇風機などを置いておくのも効果があります。
水平キャリブレーションと設定のバックアップ
水平キャリブレーションが少しでもズレていると、飛行中に軌道がふらつくだけでなく、離陸時に突然横っ飛びにすっ飛んでいくこともあります。 前後、左右から機体を見て、慎重に機体を水平状態にしたうえでキャリブレーションしてください。 段ボールなどで簡易なスタンドを作るのもよいと思います。
左のメニューから「プリセット」を選びます。 そして上部に並ぶボタンから「バックアップを保存」をクリックします。 するとFCの設定の読み出しが行われ、フォルダー選択のダイアログボックスが表示されます。 バックアップを保存したいフォルダーを選択すると、そこにテキスト形式で設定のバックアップが保存されます。
下記の"diff all"コマンドによる操作と同じ情報が採取できます。
チャンネルマップ、プロポとの接続状況の確認
また、画面左のバーグラフでは、プロポとドローンの接続状況を確認することができます。 プロポとドローンをバインドしたのちに、プロポのスティックやスイッチを操作すると、ここのバーグラフが動きます。 ドローンが正しくプロポの信号を受信しているか、また各スイッチが期待通りのチャンネルに設定できているかが確認できます。
Betaflight Configuratorのいくつかの設定画面の右下には、「更新」と「保存」ボタンが並んでいます。 画面上で値を変更したときは、「保存」ボタンをクリックすると、その値がドローンに反映されます。 逆に「更新」ボタンをクリックすると、ドローンの設定値を読み出して画面に反映します。
この画面では、プロポのスティック(Roll, Pitch, Yaw)から指を離した時には、パルス長が1500μsecとなるよう、プロポを調整してください。 また、最大に振り切ったときに「スティック高」欄の値より大きく、最小に振り切ったときに「スティック低」欄の値より小さくなるよう、プロポを調整してください。 OpenTX/EdgeTXを搭載したプロポでは、これらの値は「OUTPUT」画面で調整可能です。
なお、スティックから指を離した時に中央値がバタつくときは、各「デッドバンド」欄でその幅(最大10程度)を指定してください。 これらが調整できていないと、ドローンがまっすぐ飛びません。
RCデッドバンド: ロール、ピッチスティックの中央値のジッター(揺れ)を無視する幅を指定します。
Yawデッドバンド: ヨースティックの中央値のジッターを無視する幅を指定します。
各チャンネルへ割り当てられている機能の確認
この画面の例では、ARM機能が「AUX1(チャンネル5)」のパルス長「1700 - 2100 μsec」に割り当てられています。 プロポのスイッチからは「下」のとき1000μsec未満、「中」のとき1500μsec、「上」のとき2000μsec以上のパルスが送信されます。 このため、チャンネル5にスイッチを割り当て、それを「上」の位置に切り替えるとARM機能が有効になることを示しています。
またフライトモードANGLEとHORIZONがともに「AUX2(チャンネル6)」に割り当てられています。 この場合は、チャンネル6に3ポジションスイッチを割り当てると、「下」でANGLEモード、「中」でHORIZONモード、「上」でACROモード(フライトモードが何も指定されていないときはACROモードになる)に切り替えることができます。
VTX送信チャンネルの設定
バンド欄とチャンネル欄を指定し、画面右下の「保存」をクリックすると設定されます。 日本で使用可能な送信チャンネルは下記の通り限定されているので、それに合わせて設定してください。 複数のドローンを持っているときは、すべてのドローンのチャンネルをそろえておくと、ゴーグルのスキャン機能を使う必要がなくなります。
DShotビーコン(ブザー)の設定
DShotビーコンという機能を使うと、モーターを振動させて、ビープ音を鳴らすことができます。 物理的なブザーを搭載していない小型のドローンでも、墜落させて見失ったときに、探すのが容易になります。「ビーコントーン」欄では、鳴らす音の種類(1~5、0は無音)が選べます。
「RX_LOST」をオンにすると、プロポとの通信が途切れたときにブザーが鳴ります。
「RX_SET」をオンにすると、プロポのスイッチからブザーがON/OFFできます。
最後に画面右下の「保存して再起動」ボタンをクリックします。
CLIコマンドの使用
画面下部の「コマンドを記載してください」と書かれているテキストボックスにコマンドを入力し、[Enter]キーを押すとコマンドが入力されます。 また画面右下の「ファイルへ保存」をクリックすると、画面に表示されたCLIのやり取りをテキストファイルとして保存することができます。
[get]コマンドで、各種設定値の現在値を読み出し、[set]コマンドで、それらの変更ができます。ただし最後に[save]コマンドを入力しないと、変更がドローンに反映されません。
[help]コマンドで、使用可能なCLIコマンドの一覧を表示します。
[diff]コマンドで、デフォルト値との差分の一覧を表示します。ドローン入手時に"diff all"と入力して、表示された結果を「ファイルへ保存」しておけば、いつでも購入直後の状態に戻せます。「ファイルへ保存」または「クリップボードにコピー」ボタンを使って、テキストファイルなどに保存しておきます。
[dump]コマンドで、設定値の一覧をダンプします。
[bind_rx]または[bind_rx_spi]コマンドで、ドローンをバインドモードにします(受信機がFCボードに内蔵されている場合)。
ドローンのメーカーWebサイトでは、製品の[diff]や[dump]コマンドの実行結果を「CLI DIFF」や「CLI DUMP」と呼んで、テキストファイルで配布している場合があります。 [defaults]コマンドでリセットしたうえで、 このテキストファイルの内容を「CLIコマンドライン」画面にコピペし、[Enter]キーを押すと、ドローンを工場出荷状態に初期化することができます。
注意:Betaflightのバージョンによっては、古い"diff all"の結果を貼り付けると、正しくパラメータが設定されない場合があります。 この場合は手動で1項目ずつ確認・変更してください。
PIDプロファイルとRateプロファイルのチューニング
簡単には、まずはP値とRC Rate値を少しずつ大きくして、操作性を試してみるとよいと思います。
チューニングの方法については、下記の各サイトの情報が参考になります。
図に示したVelociDroneの初期値を参考にして、実機に適用してみるのもよいと思います。
FCのファームウェアを更新する:Betaflightをバージョンアップする
FC(フライトコントローラー)のファームウェア:Betaflightを更新/バージョンアップすることができます。 ただし必ずしも最新版にアップデートすることが、あなたのドローンにとって良いこととは限りません。 現在のバージョンで特に飛行に問題がないなら、バージョンアップは不要です。ドライバー:STM32 BOOTLOADERのインストール
Windowsパソコンで、プロセッサにSTM32を使用した、FPVドローンやOpenTX/EdgeTXプロポのファームウェアにアクセスするには、「STM32 BOOTLOADER」というドライバーをインストールする必要があります。 通常このドライバーは自動的にはインストールされないので、手動でインストールする必要があります。 詳しくは下記をご覧ください。
ファームウェアを更新する
事前に ExpressLRS Configurator など、COMポートを使用するソフトは終了しておきます。
ファームウェアを更新する前に、その設定を保存しておきます。 左のメニューから「プリセット」を選びます。 そして上部に並ぶボタンから「バックアップを保存」をクリックします。 するとテキストファイルに設定値が保存されます。
または「CLIコマンドライン」画面で"diff all"と入力し、「ファイルへ保存」または「クリップボードにコピー」ボタンを使用して、表示された結果をテキストファイルに保存します。
ファームウェアを書き込むターゲットFCボードの名前を確認しておきます。
FCをパソコンに接続すると、画面左上のログに、FCボードの名前が表示されます。
または、CLIコマンド画面で"version"と入力すると、Betaflightのバージョンやボード名が表示されます。 CLIコマンド画面で"board_name"と入力すると、ボード名が表示されます。
あるいは CLI dump の先頭には version / board_name が採取されています。
ファームウェアをオンラインからダウンロードする場合 は、書き込みターゲットのFCボードの型番と、ファームウェアバージョンを選択します。
パソコンとFCをUSBケーブルで接続していると、FCボードの選択メニューの右の[自動検出]ボタンが有効になります。 これをクリックすると、適合するファームウェアが自動的に選択されます。
そして画面右下の「ファームウェアを選択[Online]」をクリックします。 するとBetaflightオフィシャルサイトから、適合するファームウェアのダウンロードが始まります。
メーカーのWebサイトなどから入手したファームウェアを利用する場合 は、画面右下の「ファームウェアを選択[Local]」をクリックします。 すると、パソコンに保存したファームウェアファイルを指定することができます。
なお、Betaflightファームウェアの拡張子は".hex"です。
上の画面で「リリース候補を表示」をONにして、「リリースおよびRCバージョン」を選ぶと、RC(Release Candidate:リリース候補)版もリストに表示されます。 しかしRC版ファームウェアは評価中のバージョンであるため、バグを含んでいる可能性があります。 極力リリース版を使用してください。 また、FCのメーカーのWebサイトでは、製品にチューニング済みのRC版がダウンロードできる場合もあります。 RC版を使うときは、まずFCのメーカーのWebサイトを確認してください。
ファームウェアをダウンロードする前に、[ビルド設定]-[その他のオプション]欄で、ファームウェアに組み込む機能を追加/削除することができます。 不要な機能を削除すると、ファームウェアのサイズを小さくすることができます。
通常は、この項目は変更する必要はありません。 しかしもし、 ACRO TRAINERモード が使用したい場合は、その機能の追加が必要な場合があります。
ファームウェアのダウンロードが完了すると、画面下部に「オンラインファームウェアがロードされました」と表示されます。 あとはドローン(FC)をパソコンに接続して、「ファームウェアの更新」ボタンをクリックすると更新が始まります。
もし書き込みに失敗する場合は、後述の 書き込みに失敗する!? をご参照ください。
この図の例では、1番目の問題はCLI画面で "motor_pwm_protocol" を再設定(例:DSHOT300)することで解決します。 2番目の問題は「水平キャリブレーション」をやり直すことで解決します。
または、双方とも「設定値を元に戻す」(下記)と解決します。
FCのファームウェア更新が成功したら、事前に採取したバックアップデータをFCに書き戻します。 左のメニューから「プリセット」を選び、「バックアップデータをロード」をクリックします。 そして更新前に保存したテキストファイルを選択します。
または更新前に保存した"diff all"の結果をCLIコマンドラインに貼り付け、"save"コマンドでFCに書き込みます。
この後、特にエラーメッセージなど表示されなければ、ファームウェア更新完了です。
書き込んだファームウェアのバージョンによっては、このようなダイアログボックスが表示されます。 新しいバージョンで追加・変更された機能に対する設定・変更が必要です。 画面をスクロールして、赤字で表示されている部分の内容をチェックします。
赤字で表示されている部分をキャプチャしておいて、後で確認しましょう。
「強制保存」をクリックして、通常の画面に戻ります。 そしてここまでに表示された各種警告の内容に従って、設定値の見直しを行ってください。
削除されたパラメーターは、多くの場合新バージョンで不要となったものです。無視してかまいません。
追加・変更されたパラメーターは、適切な値がセットされていることを確認してください。パラメーターの名称が変わっている場合は、正しい値が引き継がれていることを確認してください。
古いファームウェアに書き戻す
古いファームウェアに書き戻すには、「ファームフラッシャー」の画面で古いバージョンを選択してファームウェアを書き換えた後、そのときに採取した設定値のバックアップ(または"diff all")をロードすればOKです。 ドローン(FCボード)、そしてそのバージョンごとに、ファームウェアファイルと設定値のバックアップを保存しておくのがお勧めです。
書き込みに失敗する!?
ここで 「シリアルポートに接続できません」というエラーメッセージが表示されたり、 「ブートローダーの再起動を開始しています...」を表示したままストールする場合は、 STM32 BOOTLOADER がパソコンに正しくインストールされているか確認してください。 あるいは ExpressLRS Configurator など、COMポートを使用する他のソフトウェアが同時に起動していないことを確認してください。
スマートフォン/タブレットでドローンを調整する:SpeedyBeeを使う
SpeedyBeeというアプリを使うと、スマートフォン/タブレットで Betaflight 3.2.0, iNAV 2.0.0, EmuFlight 0.1.0 以降を搭載したドローンのパラメーター調整やファームウェア更新を行うことができます。 スマートフォン/タブレットとドローンは、下記の Speedy Bee Adapter または 「 Bluetooth-USB Adapter (SpeedyBee) 」、「 Bluetooth-UART Adapter (SpeedyBee) 」を使って、BluetoothまたはWi-Fi経由で接続します。 SpeedyBeeアプリの画面構成は、Betaflight Configuratorと同じです。 Betaflight Configuratorの使い方をマスターすれば、SpeedyBeeアプリも使うことができます。-
SpeedyBee App
Betaflight 3.2.0以降を搭載したドローンのフライトコントローラーの設定が可能なアプリです。 モバイル デバイスとフライト コントロール ボード間の通信は、Bluetooth または Wi-Fi を介して実現できます。 「Bluetooth-UART/USB Adapte」または「Speedy Bee Adapter」を使ってドローンと接続します。
詳細を見る(App Store) -
SpeedyBee Adapter 3 フライトコントローラーESCアクセサリー、ポータブルコンフィギュレーター&フラッシャー、ブラックボックスアナライザー、1S -6S LiPoチェッカー
SPEEDY BEE 2022/3/28 4500円
新しいSpeedyBeeアダプターは、ワイヤレスファームウェアフラッシャー/コンフィギュレーター、ブラックボックスアナライザー、ESCフラッシャー、1S-6SLiPoバッテリーチェッカーを1つに組み合わせたものです。 SpeedyBeeアプリに接続し、いつでもどこでもフライトコントローラーを構成します。または、フライトセッションのわずか2分前に最新バージョンのBetaflight/Emuflight/INAVをフラッシュします。
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Speedy Bee Adapter 2 Betaflight設定ツール
Speedy Bee 2020-09-09 3,523円
この小さなアダプターだけで、Betaflight/INAV/Emuの全機能を利用可能です。外出中、ドローンの設定やファームウェアの更新などに最適です。 WiFi機能付き。スマホAPPで便利に操作できます。重いパソコンなどを持つ必要はなくなります。 XT60 & PH2.0バッテリーコネクター、1-6S入力をサポートします。