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Wake on LAN(WOL)を設定してパソコンをリモート起動する方法

ここでは、Windowsパソコンをリモート起動する方法を解説します。 テレワーク 外出先から自宅や勤務先のパソコンをリモートデスクトップ操作する方法のページも合わせてご覧ください。

Wake on LAN(WOL)設定の基本

パソコンをリモートで起動するには、そのパソコンで事前の準備が必要です。 一般に“Wake On LAN(WOL)”(LANからの起動)と呼ばれる方法を利用して、 そのパソコンのLANポートに対して「マジックパケット」と呼ばれるデータを送信する事によって起動します。 最近のパソコンではほとんどが“Wake On LAN(WOL)”に対応しています。
パソコンをリモート起動するには の3つの設定が必要です。また
  • パソコンはLANケーブルで有線LANに接続している必要があります
    (パソコンが“Wake-On-Wireless-LAN”をサポートしていれば、無線LAN経由でも起動できます)
  • パソコンはAC電源に接続されている必要があります
    (バッテリだけでは起動できない場合があります)
  • ノートパソコンの場合、ふた(ディスプレイ)が閉じていると起動しない場合があります
  • パソコンは、直前に正常にシャットダウンされている必要があります
    (強制的に電源を切った直後は起動できない場合があります)
などの条件を満たす必要があります。 また、パソコンに接続されている電源、周辺機器や、BIOS、OSの設定(起動時パスワード)等によってはうまくリモート起動できない場合もあります。

外出先からのリモート起動

外出先から自宅パソコンをリモート起動する(マジックパケットを送信する)には、次のような方法があります。
  • Homebridgeサーバーを作り(ホーム)アプリから起動する
  • 外出先から自宅に設置した高機能ルーターの設定画面にアクセスし、高機能ルーターからWOLパケットを送信する
  • VPNで外出先から自宅のLANに入り込み、アプリ等でWOLパケットを送信する

[1] Homebridgeサーバーを作る


iPhone
一番準備が面倒ですが、一度準備が終われば、一番手軽にリモート起動できます。 世界中どこにいてもiPod/iPad/iPhoneから (ホーム)アプリを開いて、対象デバイスのスイッチをタップするだけでリモート起動できます。 コントロールはiCloud経由で行うので、DDNSやポートの設定、 グローバルIPアドレスの確保 も不要であり、下記2つの場合に比べ利用できるシーンは広いと思います。 この方法については、下記のページで詳しく解説しています。

[2] 高機能ルーターを設置する


iPhone
自宅に高機能ルーターを設置し、 1) 外出先からブラウザで自宅ルーターの設定画面にアクセスし、そこから 2) 自宅LAN内にWOLパケットを送信する方法です。 事前にルータの設定画面でリモート起動したい機器のMACアドレスを登録しておき、外出先からルーター設定画面でWOLパケットを送信します。 残念ながら、このような機能を提供している高機能ルーターは、あまり多くはありません。 ASUS社のルーターでは、この2つの機能を搭載しています。 この方法については後述します。 なお、本方式を使うには、 グローバルIPアドレスの確保 が必要です。

[3] VPNで自宅のLANに入り込む


外出先からVPNで自宅のLANに入り込みLANに対してWOLパケットを送信するアプリを使う方法です。 この場合は、
  • ダイナミックDNS(DDNS)または固定IPサービスに加入し、外出先から自宅LANのアドレスを知る方法を確保する
  • 自宅にVPNサーバーを立ち上げる。外出先からVPN接続して自宅のLANに接続する
  • ルータの設定を変更し、UDPポート9(WOL)、TCPポート2(シャットダウン)を開放する
の3つの設定が必要です。 なお、開放するポートは、使用するアプリにより異なる場合があります。 VPNの設定と使用方法については、下記のページで詳しく解説しています。 なお、本方式を使うには、 グローバルIPアドレスの確保 が必要です。

グローバルIPアドレスの確保

外出先から自宅のPCにアクセスするには、インターネットプロバイダから、あなたの自宅に世界で一意の「グローバルIPアドレス」が割り振られている必要があります。 ケーブルTV会社の提供するインターネットサービスなど一部のプロバイダでは、プロバイダのローカルアドレスが付与され、「グローバルIPアドレス」が割り振られないことがあります。 この場合、別途有料で「グローバルIPアドレス」サービスを申し込む必要があります。 まずはあなたの家に「グローバルIPアドレス」が割り振られるか、プロバイダに確認しておきましょう。

LANポートのWOL設定:BIOSの設定

ここからは、リモート起動されるパソコンで必須の、3つの設定について詳しく説明していきます。 まずはBIOSの設定です。
多くのパソコンでは、電源ボタン投入直後に[Del]キーまたは[F2]キー(機種による)を連打することで、BIOS設定画面を開くことができます。 なお[Del]/[F2]キーの打鍵タイミングはシビアです。うまくBIOS設定画面を開くことができなかったときは、Windowsを「再起動」ではなく「シャットダウン」して再トライしてみてください。
PC BIOSの設定画面を開き、パワーマネージメント(APM/ACPI)の設定画面で 「Power On by PCIE Devices」などと書かれた項目を有効にします。 この項目の表現は、マザーボードメーカー/BIOSメーカーによってまちまちです。 ストレートに「Wake On LAN」「WOL」と書かれている場合もあれば「PME Event Wake Up」などと書かれている場合もあります。 マザーボードの説明書を良く読んで、それらしい項目を順に試して下さい。
なお、モバイルノートパソコンなどでは、この設定ができないものもあります。
PC これは上とは別のパソコンのBIOSの例です。 ASUSマザーボードのUEFI-BIOSです。F7キーでAdvancedモードに入り、[Advanced]-[APM]-[Power On By PCIE/PCI]を[Enabled]に変更します。
PC さらに別のパソコンのBIOSの例です。 Intel NUCです。 [Power]-[Wake on LAN from S4/S5]を[Power On - Normal Boot]に変更します。
PC さらに別のパソコンのBIOSの例です。 GIGABYTEマザーボードのAWARD BIOSです。 [Power Management Setup]-[PME Event Wake Up]を[Enabled]に変更します。
PC さらに別のパソコンのBIOSの例です。 これもASUSマザーボードのUEFI-BIOSです。F7キーでAdvanceモードに入り、[Advanced]-[APM Configuration]-[Power On By PCI-E/PCI]を[Enabled]に変更します。

WindowsのLANドライバのWOL設定

リモート起動されるパソコンで必須の、2つめの設定:LANドライバの設定です。
PC Windowsの[スタート]-[Windowsシステムツール]-[コントロールパネル]-[システムとセキュリティ]-[システム]-[デバイスマネージャ]を選ぶとこのような画面になります。 ネットワークアダプタの一覧から、有線LANのドライバを見つけます。 そして右クリックメニューで「プロパティ」を開きます。
PC まずは「ドライバー」タブでドライバーのバージョンを確認しましょう。 バージョン、日付が古い時は、LANデバイスのメーカーサイトから、最新版ドライバーを入手してインストールします。 この画面の例では、デバイスの名前「Realtek PCIe GBE Family Controller」で検索して、メーカーサイトを探します。
なお、ここで「ドライバーの更新」ボタンをクリックしても、最新版への更新が行われないことがあるのでご注意ください。
PC 最初に「電源の管理」タブで、 「このデバイスで、コンピュータのスタンバイ状態を解除できるようにする」 と「Magic Packet でのみ、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」 にチェックを入れて「OK」します。
すると使用しているLANデバイスによっては、新たに電源関連や詳細設定のメニューが増えたりします。
PC つづいて「詳細設定」タブから、“Wake On LAN(WOL)”に関する項目を選び、それを有効にします。 “Wake On LAN(WOL)”に関する項目の名前は、使用しているLANデバイスによりまちまちです。 この例では“Wake On Magic Packet”となっています。 「Wake-On-Lan機能」「ウェークアップ機能」「PME をオンにする」などと表記されている場合もあります。
PC 同様に「LAN 上のウェークアップのシャットダウン」 や「シャットダウン ウェークアップ」といった項目があった場合は、これも有効にします。
PC 別のLANドライバの例です。この場合はWOLに関するすべての設定が「電力管理」タブに集中しています。 このなかで、Wake on LANのオプションをすべてチェックするだけでOKです。

WOLの設定がない!?


LANドライバの設定画面にWOLの設定がないときは、ドライバを最新にアップデートしてみましょう。 LANインタフェースの型番でドライバを検索し、信頼できるサイトからドライバを入手してインストールします。

Windowsの「高速スタートアップ」の無効化(Win8以降)

リモート起動されるパソコンで必須の、3つめの設定です。 Windows8以降では、「高速スタートアップ」を無効にしないとWOLできません。
PC Windowsの[スタート]-[設定]-[システム]-[電源とスリープ]-[電源の追加設定]、または [スタート]-[Windowsシステムツール]-[コントロールパネル]-[ハードウェアとサウンド]-[電源オプション]を選ぶとこのような画面になります。 左のリストから「電源ボタンの動作を選択する」をクリックします。
PC 「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリックします。
PC 画面の下のほうにある「高速スタートアップを有効にする(推奨)」のチェックを外して「変更の保存」をクリックします。

技術解説


Windows8以降の場合は、S4(hybrid shutdown), S5(シャットダウン) ステートからのWOLには対応していません。 [電源オプション]画面で「電源ボタンを押したときの動作」を S3(sleep:スリープ) または S4(hibernate:休止) とする必要があります。 また、「高速スタートアップを有効」にしていると S4 が hybrid shutdown になります。 S4でWOLするには、これを無効にする必要があります。

WindowsをバージョンアップしたらWOLしなくなった!?

Windowsのメジャーバージョンアップにより、自動的に「高速スタートアップ」が有効に戻ってしまったり、LANドライバが更新され(巻き戻され)て、WOLに対応できなくなったりする場合があります。 「高速スタートアップ」設定の再チェック、LANドライバを最新にする、等を試してください。 LANインタフェースの型番でドライバを検索し、信頼できるサイトからドライバを入手してインストールします。

外出先からリモート起動

それでは、いよいよ外出先から自宅のパソコンをリモート起動してみましょう。

Homebridgeサーバーを使う場合


iPod/iPad/iPhoneで(ホーム)アプリを開いて、起動したいパソコンのボタンをタップするだけでOKです。

高機能ルーターを使う場合


以下に、ASUS社のWi-Fiルーター(RT-AC85U)での設定例を紹介します。 ASUS社のWi-Fiルーターであれば、どのモデルでも同じように設定できます。
DDNSの設定
PC ASUSルーターの設定画面にログインし、[WAN]-[DDNS]画面を開きます。 [DDNSクライアントを有効にする]で「はい」を選び、 [サーバー]欄で利用するDDNSサービスを選択します。 まずはASUS社が無料で提供する「WWW.ASUS.COM」で良いと思います。 そして[ホスト名]欄に、利用したいドメイン名を入力します。 最後に[適用]ボタンをクリックすると完了です。
外出先から設定画面のアクセスを許可
PC [管理]-[システム]-[リモート接続設定]メニューで「WANからの接続を許可」を「はい」にします。
これで、[WAN]-[DDNS]画面の[ホスト名]欄に設定した「http://○○○.asuscomm.com:8080/」または「https://○○○.asuscomm.com:8443/」で、外出先からもルーターの管理画面にアクセスできます。
外出先から管理画面にアクセスできない場合は グローバルIPアドレス が付与されていない可能性があります。
パソコンのMACアドレスを登録
PC [ネットワークツール]-[Wake on LAN]画面を開きます。 「オフラインリスト」欄の「クライアント名(MACアドレス)」欄に、起動したいパソコンやNAS、HDDレコーダーなどのMACアドレスを入力し、その右の「+」ボタンをクリックすると登録されます。
以上で事前準備は完了です。
リモート起動
iPhone 外出先からiPhone/iPadの (Safari) を開き、アドレスバーに自宅ルーターのDDNSドメイン名 (「http://○○○.asuscomm.com:8080/」または「https://○○○.asuscomm.com:8443/」) を入力します。 すると、ルーター管理画面のログイン画面となるので、ログインします。 そして[ネットワークツール]-[Wake on LAN]画面を開きます。
上で登録したデバイスの一覧から、起動したいパソコンのMACアドレスをタップすると「ターゲット」欄にそのMACアドレスがコピーされます。 あとは「ウエイクアップ」ボタンを押せば起動できます。

パソコンをリモート起動するアプリ

App Storeでは、iPod/iPad/iPhoneからマジックパケットを送出することに特化したアプリもいくつか公開されています。 これらは、LANに対してマジックパケットを送出します。 外出先などから自宅/職場のパソコンをリモート起動するには、VPN等を使って、自宅/職場のLANに入り込む必要があります。
  • RemoteBoot WOL

    iPhone

    Zuvola Apps ユーティリティ 無料

    シンプルなWOL(Wake On Lan)アプリケーションです。 Mac/PCをiPhone(iPod touch)上から起動できます。 (コンピュータがWOL対応で、きちんと設定されている必要があります) このアプリを使用するには少しネットワークの知識が必要となります。 OS,BIOS,ルータそしてこのアプリを正しく設定しなければ動作しません。

  • iNet WOL - Wake on Lan

    iPhone

    BananaGlue GmbH ユーティリティ 200円

    ?ローカルネットワークのスリープしているコンピュータの起動。 ?インターネット経由のコンピュータの起動。 ?リモートでコンピュータをスリープ、シャットダウン、再起動 (現在Mac OSXのみ対応) ?ワンタッチで新しいデバイスを登録(MACアドレスの入力不要) iNet WOLは、ローカルネットワークに接続されたデバイスをスキャンして、ボタンにそれらの名前、IPアドレス、ベンダー名を表示します。 MACアドレスを探したり入力する必要はありません。自動生成されたリスト内の項目をタップするだけでお気に入りに追加できます。

  • iShutdown - シャットダウン, 再スタート, ウェイクオンラン МАС, РС

    iPhone

    Vlad Polyanskiy エンターテインメント 200円

    コンピュータの開始・シャットダウン・再スタート・ハイバネーション ? МАС, РС にも使うことが出来ます。 ? ネットワークにコンピュータの検索 ? 必要なコンピュータを手動で入力することが出来ます ? Wi-Fi、3gで 使うことが出来ます。 ?能動的ホストを検索 ? コンピュータの開始・シャットダウンのためにRDP, VNCそのようなプログラムが必要ではありません。 iShutdownは全部機能を持っています。

もっとiPhoneでテレワークをする方法を知りたい

当サイトでは、iPhone/iPadでテレワークするためのテクニックを紹介しています。