Google MapでMSFSのシーナリーが作れるGoogle Earth Decoderの使い方

YouTubeなんて時間の無駄、ここでは無料ツール : Google Earth Decoder の使い方の要点をまとめて解説します。
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もくじ
- MSFS2024との互換性
- 作品例
- Google Earthの3Dマップを確認する
- 各種ツール類のインストール
- パッケージの命名とプロジェクトの作成
- Google Earth Decoderで3Dデータをダウンロードする
- シーナリーデーターを最適化する
- シーナリーの加工準備をする:オブジェクトをグループにまとめる
- 除外ポリゴンを作成してMSFSが自動生成した建物を消す
- シーナリーにライト・照明を置く
- シーナリーに動く煙・炎・霧・水などを置く
- シーナリーにランドマークマーカーを置く
- DDSテクスチャを圧縮してパッケージサイズを小さくする
- ゲーム画面でプロジェクトのビルド結果を確認する
- 不要なタイルを削除する/シーナリーのクリーンナップ
- 不要なオブジェクトを削除する/タイルのメッシュを加工する
- 複数のシーナリープロジェクトを結合する
- 空港をGoogleMapでアップグレード/シーナリーの標高を調整する
- 地面のちらつきを抑える/テラフォーミングポリゴンでMSFSの地面の高さを変える
- 余分な木を削除する/ベジテーションポリゴンで木の生え方を制御する
- テクスチャの明度や色調を調整する/バッチ処理で複数の画像を一括処理する
MSFS2024との互換性
ここで紹介する手順で作成したシーナリーは、MSFS2020/MSFS2024どちらでも使用可能です。
MSFS2020のSDKでビルドしたシーナリーを、そのままMSFS2024のCommunityフォルダーにコピーして使用することができます。
ただしMSFS2020とMSFS2024では、オブジェクト(テクスチャ)が表示される色や明るさが若干異なります。 どちらでも違和感が無いような色と明るさになるよう、調整が必要です。 また水面の高さは、MSFS2024とMSFS2020で若干異なっています。 どちらのMSFSでも使用できるシーナリーにするためには、繊細な水面の標高の調整を行う必要があります。
なお、MSFS2020で開発したプロジェクトを、MSFS2024 SDKで読み込むと、Google Earthから取り込んだModelLibが破損する場合があります。 MSFS2024 SDKへの移行を試す場合は、必ず事前にプロジェクトフォルダー全体のバックアップを取ってください。
基本的には、MSFS2020/MSFS2024の両方に対応したシーナリーを作りたい場合は、MSFS2020のSDKで開発するので良いと思います。
作品例
筆者の制作したシーナリーを紹介させていただきます。
こんなシーナリーが作れます。
これは
https://flightsim.to/file/92679/yokkaichi-city-japan
で配布しています。
筆者が子供のころの数年間を過ごした思い出の街です。
MSFS Scenery Yokkaichi City Night cruising 四日市工場夜景クルージング
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Google Earthの3Dマップを確認する
まず最初に、あなたが作りたいシーナリーや建物が、Google EarthやGoogleマップで3Dデータとして表示可能か否かを確認してください。
3Dデータがサポートされている地域は、都市部や有名な観光地などに限定されています。
3Dデータが存在しない地域では、Google Earth Decoderは使用できません。



この画面で[Ctrl]キーを押しながらマウスを動かすと、視点を移動させることができます。 マウスのスクロールホイールを回すと、ズームイン/ズームアウトできます。
広い地域をMSFS用に変換したいときは、どこまで3Dデータがサポートされているかを確認しておきましょう。

Google Earth
各種ツール類のインストール
マイクロソフトフライトシミュレーター用のアドオンコンテンツを作るには、まず各種ツール類をパソコンにインストールしてください。
詳しくは、下記のページをご参照ください。
パッケージの命名とプロジェクトの作成
作成するシーナリーのパッケージ名を考えてください。
MSFS SDKでは、パッケージの命名規則が厳密に決められています。
規則に従った正しいパッケージ名を考えてください。
パッケージ名が決まったら、中身が空のプロジェクトを作成します。 Google Earth Decoderを使う場合は、Blenderのプラグイン「Google Earth Decoder Optimization Tools (GEDOT)」を使ってシーナリープロジェクトを作成するのがおすすめです。
詳しくは、下記のページをご参照ください。
Google Earth Decoderで3Dデータをダウンロードする
中身が空のプロジェクトが準備できたら、そこにGoogle Earthの3Dデータをダウンロードします。

画面右上の「Output Folder」欄にあるフォルダーアイコンをクリックして、3Dデータを保存するフォルダーを指定します。 中身が空のプロジェクトが準備できているときは、その中の「PackageSources」フォルダーを指定します。
「LOD OPTIONS」欄で、ダウンロードするデータの精細度(LOD:Level Of Details)の範囲を指定します。 2つの青いバーを左右にドラックすると、最低LODと最高LODが指定できます。 数値が小さいほど精細度が低く(データ量が少ない)、数値が大きいほど精細度が高い(データ量が多い)ことを示します。
なお、この画面の各minSize欄のデフォルト値は正しくありませんが、 シーナリーデーターを最適化 すると自動的に修正されます。 このまま放置してかまいません。
「COLOR CORRECTION」欄で、テクスチャの色調などが調整できます。 ダウンロードされるテクスチャはやや明るすぎるので、Brightness(明るさ)のみ、0.9程度にすると良いかもしれません。 しかしこの画面でリアルタイムに確認できるわけではないので、この機能を使うのは難しいと思います。 色調の調整が必要となった場合は、シーナリー完成後に GIMPなどのペイントツールで直接テクスチャファイルを加工 してください。
テクスチャの明度や色調を調整する/バッチ処理で複数の画像を一括処理する
地図が表示されている場所で、マウスのスクロールホイールを回すか、左ボタンをダブルクリックすると、ズームイン/ズームアウトできます。
ドラッグすると、場所を移動することができます。
マウスの右ボタンを押さえながらドラッグすると、3Dデータをダウンロードする範囲が選択できます。 白いラバーバンドが表示されます。 繰り返してドラッグすれば、範囲の指定を何度でもやり直すことができます。 ただし3Dデータは、Google Earthで定義される「タイル」という単位でダウンロードされます。 このため、実際には白線で囲んだ部分より広い領域のデータがダウンロードされます。
画面右上の「CLEAR REGION」ボタンをクリックすると、選択範囲をクリアします。 範囲を選びなおすことができます。

LOD20のデータサイズは、LOD17~19のすべてのデータサイズの10倍以上になる場合もあります。 空港のビルなど、ゲーム中で拡大表示されるシーナリーを作る場合に限って、範囲をごく狭くしたうえで最大LODとして20または21を試してみてください。 なお、LOD22以上を指定すると、データ量が多すぎるためか、MSFSのビルドでエラーとなる場合があります。 LOD22以上は指定しないでください。
建物の多い都市部では、最大LOD19でも実用的な速度が出ない場合があります。 このような場合は範囲を狭めるか、最大LODを下げてください。
地域全体と、その中のランドマークとなる建物を別のシーナリーにして、それぞれ個別の最大LOD値を指定し、後から シーナリーデーターを結合する のも良いと思います。
minSizeとは
minSize(単位は%)とは、ゲーム中で、オブジェクトの解像度の選択に使用される指標です。 ゲーム画面上で、オブジェクトのサイズがminSize値より大きくなったときに、そのLODのモデルが表示されます。 ここが正しくセットされていないと、オブジェクトに近づいても低い解像度のモデルが表示されたり、オブジェクトから遠ざかっても、高い解像度のモデルが表示されたりします。 オブジェクトのサイズ(ダウンロードしたGoogle Mapの広さ)に合わせて、毎回調整する必要があります。 シーナリーデーターを最適化 するとシーナリーはタイルごとに分割され、正しいminSizeがセットされます。
LODの詳細については、MSFS SDKドキュメントの下記のページで読めます。
LOD SELECTION SYSTEM (MSFS 2024 SDK Documentation)
LODs (MSFS SDK Documentation)

一度に広範囲のシーナリーを作ると、シーナリーの端のタイルがMSFSの地面に沈み込んでしまう場合があります。 広範囲のシーナリーを作りたいときは、約2~3km四方くらいのシーナリーに分けて作成し、最後に シーナリーデーターを結合する するのが良いと思います。
右図の例では、約1km四方を選択していて、ダウンロードされるタイルの数は4となります。
Google Earth Decoderを初めて使用するときは、インストールした各ツールが正しく動作することを確認するため、ごく狭い領域で試してください。
Flightsim.toというサイトでは、あなたの作成したアドオンコンテンツを、広くユーザーに配布することができます。 ただしFlightsim.toへコンテンツをアップロードするには、ファイルサイズ(圧縮後各2.5GB/圧縮前約4~5GB程度)やファイル数(最大4つ)など、数々の制約があります。 また、事前に準備しておくべきものもいくつかあります。 アドオンコンテンツを開発する前に、この手順に目を通しておくことをお勧めします。
自作したMSFSアドオンコンテンツをFlightsim.toで配布する方法

もしダウンロードを中止したい場合は「CANCEL」ボタンをクリックしてください。
なお、さまざまな理由で「DOWNLOAD」ボタンをクリックしてもダウンロードが始まらない場合があります。 その場合は、領域を小さくしたり、場所を変えたり、またはしばらく時間を空けて試してみてください。 3Dデータがサポートされていない地域では、ダウンロードが始まりません。

最大LODの指定によって、ゲーム中でどれだけ見え方が変わるか、比較してみました。 最大LOD21、20、19のモデルを、同じ場所から眺めた映像です。 データ量は各LODの間で3倍以上になります。 なお、LOD19の画像例は、広いシーナリーの端に位置しており、若干MSFSの地面に沈み込んでしまっています。
シーナリーデーターを最適化する
Blenderのプラグインである Google Earth Decoder Optimization Tools (GEDOT)を使うと、ダウンロードしたシーナリーデーターを最適化することができます。
注意: Google Earth Decoder Optimization Tools (GEDOT)は、Blenderバージョン3.5で使用してください。 このページで使用しているGEDOTは、バージョン1.1.3(2022年4月版)です。
Google Earth Decoder Optimization Tools (Flightsim.to)
Google Earth Decoder Optimization Tools (Github)



画面上部中央にあるPath of the MSFS projects...と書かれた部分をクリックします。


Author of the project欄には、あなたの名前/ペンネームなど(この例では"someone")を指定します。
Bake texutures enabledにチェックを入れると、地表を構成する各タイルのLODごとに、テクスチャが1枚に合成されます。 ゲームの表示速度(FPS値)が向上します。 ただしこの機能を使うには、BlenderにLily Texture Packerプラグインがインストールされている必要があります。 Lily Texture Packerのインストール方法については、下記をご覧ください。
MSFS SDK/Blender/プラグイン/ツールのダウンロードとインストールの方法

この画面では、各LOD値に対する"minSize"値を指定します。 デフォルトで正しい値がセットされているので、更新は不要です。
ただしこの画面にはLOD17~LOD23までの設定値しかありません。 これより低い、または高いLOD値のデータが存在する場合は、追加と修正が必要です。

画面上部中央にあるPath of the MSFS bin exe...と書かれた部分をクリックすると、フォルダー選択画面が開きます。 ここではMSFS SDKのビルド用ツール "fspackagetool.exe" の場所を指定します。 これは通常 "[MSFS SDKインストールフォルダ]\Tools\bin" の下にあります。
Build package enabledにチェックを入れると、最適化が終わった後、自動的にビルドがスタートします。
また、あなたが購入したMSFSがSteam版の時は MSFS Steam versionにチェックを入れてください。
最後に赤い[Optimize an existing MSFS scenery...]ボタンをクリックすると、プロジェクトの最適化が始まります。
なお、青い[OK]を押すと、このダイアログボックスが閉じます。


ここでエラーが表示される場合は、 MSFS SDK/Blender/プラグイン/ツールのダウンロードとインストールの方法 のページを参照して、各ツールのバージョンが適切かを確認してください。
MSFS SDK/Blender/プラグイン/ツールのダウンロードとインストールの方法

より広い地域のシーナリーを作りたいときは、複数のプロジェクトに分割する必要があります。

右図のように、Google Earthから読み込んだ3Dデータが、ゲーム画面上に表示されます。 しかし手前や中央奥にある小さい建物をよく見ると、Google Earthから読み込んだ建物と、MSFSによって自動生成された建物が重なって表示されているのがわかります。 つぎに、シーナリーに「除外ポリゴン」を追加することによって、この自動生成された建物を消します。
ゲーム画面でプロジェクトのビルド結果を確認する
シーナリーの加工準備をする:オブジェクトをグループにまとめる
作成したGoogleマップのシーナリーをMSFS SDKに読み込んで、加工する準備をしましょう。
Googleマップのオブジェクトを「グループ」にまとめておきます。
★この作業は必須ではありません。単にMSFS SDKでパッケージを修正するときの扱いやすさを向上するだけのものです。

ゲーム画面でプロジェクトのビルド結果を確認する



注意:
少なくとも画面右下に[READY TO FLY(フライト準備完了)]ボタンが表示されている状態(シミュレーションの場所特定)までWORLD MAP画面を進めないと、ここでエラーになるのでご注意ください。

開発者メニューを操作していると、次々と新しいウインドウが開いていきます。 操作しやすいように、適宜ウインドウを並べ替えながら作業を進めてください。
あるいは各ウインドウの左上、ウインドウ名の左にある「▼」マークをクリックすると、この図のようにウインドウを折り畳んでおくことができます。


ここまでの作業で、GoogleマップのシーナリーデータがMSFS SDKに読み込まれました。 SDKを使ってシーナリーを編集したり、新しいオブジェクトを追加することができます。





除外ポリゴンを作成してMSFSが自動生成した建物を消す
作成したシーナリーに「除外ポリゴン」を置くと、MSFSによって自動生成された建物を消すことができます。


この状態のときは、あなたがMSFSにインストールしているすべてのシーナリーから、オブジェクトをコピーして持ってくることができます。 他のユーザーが開発したオブジェクトを、あなたのシーナリーに取り込むことができます。

なお、MSFSで扱えるオブジェクトの詳細については、MSFS SDKドキュメントの下記のページで読めます。
SCENERY OBJECTS (MSFS 2024 SDK Documentation)
OBJECTS (MSFS SDK Documentation)



Scenery Editor画面で、追加した赤字の"Polygon"をクリックして選択します。
次にゲーム画面で[Ctrl]キーを押しながらマウスを左クリックすると、そこに頂点が追加されます(右図中の赤い矢印)。 シーナリーを囲むように、[Ctrl]+クリックしていきます。 そして、[Ctrl]キーを押さずに、マウスを左ダブルクリックすると、頂点の追加を終了します。 ただしダブルクリックした場所には、頂点は置かれません(図中の青い矢印)。



"TIN"は、Bing Mapsから写真測量によって生成された建物です (Triangulated Irregular Network)。
"detected buildings"は、航空写真から合成された建物です。
"OSM buildings"は、 Open Street Map による建物です。
"MS buildings"は、マイクロソフトの自動建物生成ai(Blackshark.ai)による建物です。
ポリゴンとその操作方法、およびプロパティの詳細については、MSFS SDKドキュメントの下記のページで読めます。
OSM buildings (Open Street Map)
POLYGON OBJECTS (MSFS 2024 SDK Documentation)
POLYGON OBJECTS (MSFS SDK Documentation)

カメラを"Top Down Camera"に切り替えると、真上からの視点となり、より正確な位置合わせができます。

参考:ここでScenery Editor画面を閉じると、ゲーム画面から、あなたの作成したGoogleマップのシーナリーが消えてしまいます。 しかしプロジェクトの中には残っているので、Project Editor画面でBGLを選択し、Inspector画面で[Load in Editor]ボタンをクリックすると、ゲーム画面にシーナリーが戻ってきます。

Project Editor画面でパッケージ名をクリックして選択し、Project Editorのメニューから[View]-[Inspector]を選びます。 するとInspector画面にバージョン番号の入力欄が現れます。
バージョン番号は3つの数字から成り、左からメジャーバージョン、マイナーバージョン、パッチバージョンです。 軽微な修正はパッチバージョンをアップします。 機能追加など行ったときはマイナーバージョンをアップします。 大幅な改造を行ったときはメジャーバージョンをアップします。

プロジェクトのビルド手順に関する詳細は MSFSアドオンコンテンツ用のプロジェクトの作り方 の「プロジェクトをビルドする」の章をご覧ください。
MSFSアドオンコンテンツ用のプロジェクトの作り方


主要なビルには、ビル全体を照らすようにライトを設置したり、高層ビルに赤色点滅灯(航空障害灯)を設置すると、リアリティが増します。
ポリゴンオブジェクトの保存される場所
上の手順でシーナリーに追加したポリゴンの情報は、"PackageSources\scene"フォルダーの下にある"objects.xml"ファイルに追記・保存されていきます。
シーナリーにライト・照明を置く

また、これらの合わせ技として、Blenderのライトオブジェクトを部品として書き出して、MSFS SDK内でこれを大量に設置するという方法もあります。
これらの方法については、 MSFSのシーナリーにライト/照明を追加する方法 のページをご覧ください。
MSFSのシーナリーにライト/照明を追加する方法
シーナリーに動く煙・炎・霧・水などを置く

この方法については、 MSFSのシーナリーに動く煙・炎・霧・水などを追加する方法 / Visual Effect Editorの使い方 のページをご覧ください。
MSFSのシーナリーに動く煙・炎・霧・水などを追加する方法 / Visual Effect Editorの使い方
シーナリーにランドマークマーカーを置く

この方法については、 MSFSのシーナリーにランドマークマーカーを追加する方法 のページをご覧ください。
MSFSのシーナリーにランドマークマーカーを追加する方法
DDSテクスチャを圧縮してパッケージサイズを小さくする
あなたが開発したMSFSシーナリーのリリースパッケージには、テクスチャファイルがDDS形式に変換されて格納されます。
Blenderのプラグインである Google Earth Decoder Optimization Tools (GEDOT)と、AMDの後援でオープンで開発されているグラフィック関連ツール:Compressonatorを使うと、
このDDS形式テクスチャファイルのサイズを半分以下に圧縮することができます。
パッケージ配布時のサイズを縮小し、ゲームプレイ時の負荷を軽減することができます。
テクスチャの圧縮を行うタイミングは、シーナリーが完成して、最後のビルドが終わった後、パッケージのリリース直前で良いと思います。


圧縮の対象とするシーナリーは、事前にMSFS SDKでビルドに成功している必要があります。

最後に赤い[Optimize the built package by...]ボタンをクリックすると、テクスチャの圧縮が始まります。
なお、青い[OK]を押すと、このダイアログボックスが閉じます。
Compressonatorのインストール方法については、下記をご覧ください。
MSFS SDK/Blender/プラグイン/ツールのダウンロードとインストールの方法


圧縮前と圧縮後を比較したところ、今回の例では、"texture"フォルダーの中身の合計サイズが、22.4MBから8.45MBに減少しました。 元のファイルサイズの1/3近くまで圧縮できました。
ゲーム画面でプロジェクトのビルド結果を確認する
ここでは、ビルドした開発中のプロジェクトをMSFS SDKに読み込んで、ゲーム画面で確認する方法を解説します。

またはこの下の[Open recent]を選ぶと、最近開いたプロジェクトの一覧から選択することも可能です。

なお、一つのプロジェクトに複数のパッケージを作ると、ここに複数の"[パッケージ名].xml"ファイルが生成されます。

プロジェクトはMSFS SDKで[Save]されていないと、シミュレーション画面に移行できません。 読み込んだら、最初に[Project]-[Save]を選んでください。 もし[Save]メニューがグレーアウトしているときは保存済みです。

MSFSでWORLD MAP画面を開いて、今回作成したシーナリーが見渡せる場所をクリックして、[SET AS DEPARTURE(出発地点として設定)]をクリックします。 必要に応じて時刻や天候などの条件をセットして、[FLY(飛行)]ボタンをクリックします。




初期値ではキーボードの[PAUSE]キーに割り当てられています。 もしあなたのキーボードに[PAUSE]キーがあるなら、それでオン/オフできます。

Switch | Controll |
---|---|
左アナログスティック | カメラを前後左右へ平行移動する |
右アナログスティック | カメラを上下左右へ回転する |
左右トリガー | カメラを上下方向に移動する(上昇/下降) |
左右ボタン | カメラを左右にロールする |
Switch | Controll |
---|---|
左アナログスティック | カメラを前後左右へ平行移動する |
左右トリガー | カメラを上下方向に移動する(上昇/下降) |



あなたがパッケージに組み込ん機能の多くは、開発者モードの画面では機能しません。 完全な動作確認を行うには、完成したパッケージを"Community"フォルダーにコピーして、MSFSを再起動し、通常モードでプレイする必要があります。
不要なタイルを削除する/シーナリーのクリーンナップ
意図せず不要な領域が3Dデータとして取り込まれてしまったら、MSFS SDKを使って、そのタイルだけを削除することができます。
建物が存在しないタイルは、極力削除してポリゴン数を減らしましょう。
しかしMSFS SDKでタイルを削除しても、それに関連付けられているテクスチャファイルなどはプロジェクトフォルダの中に残ったままです。 Blenderのプラグインである Google Earth Decoder Optimization Tools (GEDOT)を使うと、このような使用されていないファイルを自動的に削除(クリーンナップ)することができます。
不要なタイルを削除する


そしてScenery Editor画面の下にある[Delete]ボタンをクリックすると、選択中のタイルが削除されます。
もし誤って削除してしまったときは、Scenery Editor画面のメニューで[Edit]-[Undo]を選択してください。

シーナリーをクリーンナップする



画面上部中央にあるPath of the MSFS bin exe...と書かれた部分をクリックすると、フォルダー選択画面が開きます。 ここではMSFS SDKのビルド用ツール "fspackagetool.exe" の場所を指定します。 これは通常 "[MSFS SDKインストールフォルダ]\Tools\bin" の下にあります。
Build package enabledにチェックを入れると、結合が終わった後、自動的にビルドがスタートします。
また、あなたが購入したMSFSがSteam版の時は MSFS Steam versionにチェックを入れてください。
最後に赤い[Clean the unused files of the MSFS project...]ボタンをクリックすると、プロジェクトのクリーンナップが始まります。
なお、青い[OK]を押すと、このダイアログボックスが閉じます。


ここでエラーが表示される場合は、 MSFS SDK/Blender/プラグイン/ツールのダウンロードとインストールの方法 のページを参照して、各ツールのバージョンが適切かを確認してください。
MSFS SDK/Blender/プラグイン/ツールのダウンロードとインストールの方法
不要なオブジェクトを削除する/タイルのメッシュを加工する
タイルの中の一部のオブジェクトを削除したいとき、あるいは地形を変えたいときは、タイルのデータをBlenderに取り込んで、そのメッシュを加工します。

これを削除して、手作りの観覧車オブジェクトに置換します。


そしてメッシュを加工します。 不要なオブジェクトを削除するには、BlenderのModifiers機能を使うのが便利です。
Blenderの画面で、削除したい部分をすっぽり囲むようなメッシュ(Modifireメッシュ : 右図の例では白い立方体)を作り、それを非表示にしておきます。
そして


タイルの中で、削除したい部分がすべて消えるまで、メッシュの選択とModifiersの適用を繰り返します。
BlenderのModifiers機能の使い方については、 Modifiers (Blender Manual) などの外部資料をご参照ください。
BlenderとMSFSの間で3Dデータのエクスポート・インポートを行うglTF-Blender-IO-MSFSの使い方
Modifiers (Blender Manual)


Modifiersを使ってタイルを加工した場合は、glTF-Blender-IO-MSFSプラグインのSettings画面で、"Apply Modifires"にチェックを入れることを忘れないでください。
BlenderとMSFSの間で3Dデータのエクスポート・インポートを行うglTF-Blender-IO-MSFSの使い方

Project Editorの画面で[Build All]ボタンをクリックして、シーナリーをビルドします。
もしビルド時にエラーが発生した場合はBlenderに戻り、Modifiersの設定を見直します。 Modifireメッシュの位置や大きさを変えるのも効果があります。


Modifiersでメッシュが期待通りに変形できない例が発生するのは、glTF-Blender-IO-MSFSプラグインの不具合と思われます。 メッシュによって、"Apply"すると期待通り変形できる場合や、うまくいかない場合があります。 状況によって対応を選択してください。
"Apply"を試す前には、元に戻せるように".blend"ファイルのバックアップを取っておきましょう。

複数のシーナリープロジェクトを結合する
Blenderのプラグインである Google Earth Decoder Optimization Tools (GEDOT)を使うと、Google Earth Decoderで、複数回に分けてダウンロードしたシーナリー(タイル)を、ひとつのプロジェクトに結合することができます。
単純な四角形ではないシーンや、飛び地のあるシーンを作りたいときに便利です。
メインのシーナリー(結合先)となるプロジェクトに、コピーされるシーナリー(結合元)となるプロジェクトのタイルとテクスチャーをコピーします。 双方のシーナリーに重複するタイルがある場合は、メインのシーナリー(結合先)のタイルを削除してくれます。 このため、まずメインシーナリーとして、広い地域を低いLOD値(例:17~19)で作成し、あとから高いLOD値(例:17~21)で作成した狭い地域をいくつか結合していくと、要所要所に高解像度モデルを持ったシーンを作ることができます。
なお、結合するシーナリーは、双方の最低LOD値が同じである必要があります。 また、結合後のPackageSourcesフォルダーの中身が7.5GBを超えないよう注意する必要があります。 さもないと、MSFSのビルドでエラーが発生する場合があります。
結合されるのは、PackageSourcesフォルダーの中のタイルと、それに関連する情報だけです。 このため、MSFS SDKで追加したオブジェクト(除外ポリゴンやライトなど)はコピーされません。 結合するタイミングは、それぞれの シーナリーデーターの最適化 さえ終えていれば、いつでも構いません。 ただし、結合後に再度ビルド、除外ポリゴンやライトの追加、DDSテクスチャの圧縮などを行う必要があります(自動でビルドするオプションがあります)。




画面上部中央にあるPath of the MSFS bin exe...と書かれた部分をクリックすると、フォルダー選択画面が開きます。 ここではMSFS SDKのビルド用ツール "fspackagetool.exe" の場所を指定します。 これは通常 "[MSFS SDKインストールフォルダ]\Tools\bin" の下にあります。
Build package enabledにチェックを入れると、結合が終わった後、自動的にビルドがスタートします。
また、あなたが購入したMSFSがSteam版の時は MSFS Steam versionにチェックを入れてください。
最後に赤い[Merge an existing MSFS scenery...]ボタンをクリックすると、プロジェクトの結合が始まります。
なお、青い[OK]を押すと、このダイアログボックスが閉じます。


ここでエラーが表示される場合は、 MSFS SDK/Blender/プラグイン/ツールのダウンロードとインストールの方法 のページを参照して、各ツールのバージョンが適切かを確認してください。
MSFS SDK/Blender/プラグイン/ツールのダウンロードとインストールの方法

このあと必要に応じて 除外ポリゴンの追加 を行います。
空港をGoogleMapでアップグレード/シーナリーの標高を調整する
建物が作りこまれていない空港を、GoogleMapシーナリーでアップグレードすることができます。
また、GoogleMapシーナリーの標高を調整して、MSFSに現れる他のオブジェクトとの干渉を避けることができます。

通常"Airport"は標高が高めに設定されているので、滑走路はGoogleシーナリーの上に表示されます。 しかし、場合によっては滑走路がGoogleシーナリーの下に沈んでしまったり、逆にGoogleシーナリーの標高が低すぎて、その建物がエプロンに埋まってしまう場合があります。 このような場合には、Googleシーナリーの標高を調整します。


オブジェクトの標高を調整するには、一番上で「Translate(移動)」を選んだうえで、"Lat, long, alt:(緯度,経度,標高)"欄の3つめの数値を変更します。 数値をクリックして、キーボードから数字を入力し、Enterキーを押すと更新されます。 ただし反応が遅いので、更新にはコツが必要です。 0.1m単位で調整してみてください。
入力できたら、Scenery Editor画面の下にある[Save Scenery]ボタンをクリックして、シーナリーを保存します。 そしてビルドしなおしましょう。
地面のちらつきを抑える/テラフォーミングポリゴンでMSFSの地面の高さを変える

これを解決するには、以下の3つの方法が考えられます。
- Googleのシーナリーの標高を上げて、全ての地面をGoogleのシーナリーに統一する
- Googleのシーナリーの標高を下げて、建物以外をMSFSの地面に統一する
- テラフォーミングポリゴンを使って、MSFSの地面の標高を下げる(上げる)
ここでは3つめの、テラフォーミングポリゴンを使う方法を紹介します。

Scenery Editor画面のメニューで[View]-[Objects]を選び、Objects画面で"Polygon"を選び[Add]ボタンをクリックします。 そしてゲーム画面で[Ctrl]キーを押しながらマウスを左クリックして、MSFSの標高を変えたい部分を囲むように、ポリゴンを作成します。

注意:テラフォーミングポリゴンを設置すると、その中のMSFS地面は完全に平らになります。 もともと凹凸のある場所にテラフォーミングポリゴンを設置すると、MSFS地面は部分的に持ち上げられたり引き下げられたりすることになります。 あまり大きなテラフォーミングポリゴンを設置すると、想定外の場所が隆起したり陥没するので注意してください。 もともと起伏の少ない平らな場所で使用するのがおすすめです。



調整が済んだら、Scenery Editor画面の下にある[Save Scenery]ボタンをクリックして、シーナリーを保存します。 そしてプロジェクトをビルドしなおしましょう。

テラフォーミングポリゴンの各パラメータについては、MSFS SDKドキュメントの下記のページで読めます。
POLYGON OBJECTS (MSFS 2024 SDK Documentation)
POLYGON OBJECTS (MSFS SDK Documentation)


右図の黄色い線で囲ったようなテラフォーミングポリゴンを作成し、0.1m単位で少しずつMSFSの水面を持ち上げて、Googleのシーナリーの水面を隠します。 また、陸地の部分には、海岸線に沿うようなテラフォーミングポリゴンを作成し、逆にMSFSの地面を引き下げて、Googleのシーナリーの地面が現れるように調整しています。 2つのテラフォーミングポリゴンの境界線は、海岸線の、Googleのシーナリーの地面の内側を沿うように設定します。 さもないと、海岸線に滝のような段差が見えてしまいます。
余分な木を削除する/ベジテーションポリゴンで木の生え方を制御する


基本的な手順は 除外ポリゴンの作成 と同じです。 すなわち、シーナリーにポリゴンオブジェクトを追加し、そのプロパティを Vegetation に指定し、そのポリゴンのパラメータを操作します。
4つのパラメータがありますが、一番上の「Vegetation scale」を0にすると、木が見えなくなります。 Googleマップから作ったシーナリーでは、市街地の木はすべて無くしてしまっても良いと思います。 すでに作成済みの除外ポリゴンのプロパティ画面を開き、「Vegetation」にもチェックを入れ、「Vegetation scale」を0にします。
より細かく植栽をコントロールしたいときは、 テラフォーミングポリゴンの例 のように新しいポリゴンを設置して、「Vegetation」のパラメーターを操作します。
ベジテーションポリゴンの各パラメータについては、、MSFS SDKドキュメントの下記のページで読めます。
POLYGON OBJECTS (MSFS 2024 SDK Documentation)
POLYGON OBJECTS (MSFS SDK Documentation)


テクスチャの明度や色調を調整する/バッチ処理で複数の画像を一括処理する
Google Earth Decoderでダウンロードされるシーナリーは明度が高すぎるので、ゲームなかで、その部分だけが白っぽくなってしまいます。
これを改善するには、テクスチャの明度、彩度、コントラストを調整します。
調整値はダウンロードしたGoogleマップの地域や、使用する画像処理ソフトに依存しますが、明度を大幅に低く(暗く)、彩度とコントラストは少しだけ強く調整すると良いようです。
ここではフリーソフトのXnConvertを使う方法と、GIMPプラグインのBIMPを使う方法を紹介します。 XnConvertを使うと、パラメーターの変更をその場でプレビューできるので、より直感的に調整を行うことができます。
そしてツールの入力には、ターゲットのプロジェクトの "\PackageSources\(パッケージ名)-modelLib\texture" フォルダーを指定します。

XnConvertの使い方については、 複数画像の明度、彩度、コントラスト、ファイル形式などを一括変更できる XnConvertの使い方 のページをご覧ください。

BIMPの使い方については、 GIMPプラグインのBIMPを使って複数画像の明度、コントラストなどを一括変更する のページをご覧ください。


次にMSFSを起動して、プロジェクトを ゲーム画面に読み込み 、MSFS SDKでビルドすると完成です。
まずProject Editorの画面で[Clean All]ボタンをクリックして古いパッケージを削除します。 ビルド前に[Clean All]しないと、テクスチャの変更が反映されないので注意してください。
一方、同じプロジェクト内に、Blendarなどから取り込んだ3DモデルのmodelLibが含まれていると、[Clean All]した時にプロジェクトが壊れる場合があります。 プロジェクトのバックアップを取っておいてください。






期待通りテクスチャの調整に成功したら、最初に作成したテクスチャのバックアップや"textureold"フォルダは削除しても構いません。