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Liberica JDKのインストール方法 / OpenJDKとOpenFXでJavaFX開発環境を作る

「エラー: モジュールが見つかりません: javafx.controls」を解決するために

JavaがOracleの手から離れ、JavaFXが分離してから数年。 JavaとJavaFXの開発環境はすっかり様変わりしてしまいました。 最新のJavaFX開発環境を構築するにあたり、最初は正攻法(?)で、 OpenJDK OpenFX を個別にダウンロードして環境を構築しましたが、どうにもビルド時(javac実行時)の
エラー: モジュールが見つかりません: javafx.controls
エラー1個
を消すことができませんでした。
いろいろ調べる中で、最初からOpenFXが組み込まれているJDKとして、 BellSoft社 が提供している Liberica JDK の存在を知り、こちらを試してみました。 するとこのエラーがあっさり解決しました。
このページでは、このLiberica JDKを使って、JavaFXのサンプルコード"HelloFX.java"をコンパイル、実行するまでの手順を解説します。

JDKインストールの事前準備

Liberica JDKのインストールには、特に事前準備などは必要ありません。 ただし、過去にも他のJava JDKを使用していた場合は、事前にアンインストールしておいたほうが良いと思います。
[スタート]-[設定]-[アプリ]の画面にJDKの名前があるときは、ここから[アンインストール]しておきます。 手動でインストールした場合は、 Windowsのシステム環境変数 "Path"と"JAVA_HOME", "PATH_TO_FX"を整理しておきます。
環境変数"Path"の中に他のJava JDKへのパスが残っているときは、その部分のみを削除しておきます。
環境変数"JAVA_HOME", "PATH_TO_FX"が定義されているときは、これを削除しておきます。
その他JDK, JavaFX関連の環境変数を定義していたときは、それを削除しておきます。
複数のJDKを使い分けたいときは、各JDKのインストールフォルダは残したままで、上記のシステム環境変数を編集することによって切り替えます。

Liberica JDKのダウンロード

PC BellSoft社の Liberica JDK ダウンロードページ を開きます。
PC 画面をスクロールして、ダウンロードしたいJDKのバージョンを選択します。 今回はLTS版のVer.17を選びました。
PC さらに画面をスクロールして、ターゲットOS、JDKのタイプを選択します。 Windowsの場合は、Windows欄の"x86"を選択します。 そして"Package"欄のドロップダウンリストから"Full JDK"を選びます。
PC つづいて画面の"MSI"または"ZIP"をクリックすると、JDKがダウンロードできます。
"MSI"はインストーラー付きのモジュールです。 自動的にインストールフォルダが選択され、 環境変数の設定 も行われます。 "bellsoft-jdk17.0.6+10-windows-amd64-full.msi"といった名前のファイルがダウンロードできます。
"ZIP"はJDKのインストールフォルダーがZIP圧縮されたものです。 任意のフォルダーに展開したい場合はこちらも便利です。ただし 環境変数の設定 は手動で行う必要があります。 "bellsoft-jdk17.0.6+10-windows-amd64-full.zip"といった名前のファイルがダウンロードできます。

Liberica JDKのインストール

PC ここでは"MSI"形式のファイルを使ってインストールします。 以下の手順を進めるなかで、このような画面が表示されたときは「はい」をクリックしてください。
PC ダウンロードした"bellsoft-jdk17.0.6+10-windows-amd64-full.msi"をダブルクリックすると、インストーラーが起動します。 "Next"をクリックします。
PC インストールモジュール(項目)と、インストール先を選択します。 特に変更する必要はないと思います。 "Next"をクリックします。
デフォルトのインストール先は "C:\Program Files\BellSoft\LibericaJDK-17-Full" です。
もしインストール先を変更したいときは、"Browse"ボタンをクリックして、新たなインストール先を指定してください。
PC 上の画面で"Next"をクリックすると、このような画面になります。 "Install"をクリックすると、インストールが始まります。
PC インストールにかかる時間は数十秒~数分程度です。
PC このような画面になったら、インストール完了です。 "Finish"をクリックして、インストーラーを終了させます。

JDKのインストール結果を確認する

バージョンを確認する
PC JDKが正しくインストールされているか、確認しておきましょう。 コンソールを開いて java -version と入力します。 図のようにJavaのバージョンが表示されれば正しくインストールされています。 もうjavacコマンドを使って、javaプログラムのコンパイルができるはずです。
ちなみに、ここで使用しているWindowsコンソールプログラムは ConEmu です。
環境変数を設定/確認する
PC 図のように 環境変数 がセットされていることを確認します。 JDKを使用するのに必要な環境変数は"JAVA_HOME"と"Path"の2つです。
"JAVA_HOME"がJDKのインストールフォルダを指し、 "Path"の先頭にはインストールフォルダの下の"bin"へのパスが追加されていることを確認します。
"ZIP"形式のモジュールを手動でインストールした場合は、これらの環境変数も手動で設定します。
Liberica JDKにはJavaFXが組み込まれているので、OpenFXを個別にインストールした時には必要であった環境変数"PATH_TO_FX"を設定する必要はありません。

JavaFXのサンプルプログラムをコンパイル・実行する

PC 最後にJavaFXのサンプルプログラムをコンパイルおよび実行してみましょう。 使用するサンプルプログラムは OpenFXオフィシャルサイト で配布されている"HelloFX.java"です。
OpenFXオフィシャルサイトを開き、上のメニューから"Documentation"を選び、画面中央左から"Getting Started with JavaFX"をクリックします。
PC 画面左のメニューから"Run HelloWorld using JavaFX SDK"を選ぶと、このような画面になります。 画面中央部にある"HelloFX.java"をクリックすると、ソースコードが入手できます。 これを任意のフォルダに保存します。
PC コンソールを開いてソースコードを保存したフォルダに移動し、 javac HelloFX.java と入力します。 この図のように、何もエラーメッセージが表示されなければ、コンパイル完了です。 ソースコードを保存したフォルダには、クラスファイル"HelloFX.class"が生成されているはずです。
Liberica JDKにはJavaFXが組み込まれているので、OpenFXを個別にインストールした時のように、コマンドラインに--module-path %PATH_TO_FX% --add-modules javafx.controlsを指定する必要はありません。
PC コンソールから java HelloFX と入力すると、サンプルプログラムが起動します。 この図のようなウインドウが開き、その画面の中央にJavaとJavaFXのバージョンが表示されます。

実行時エラー「JavaScript script engine is disabled」を解決するために

JavaFXでは、FXMLファイル内にJavaスクリプトを記述することができます。 しかしJavaバージョン15以降、スクリプトエンジン"Nashorn"が削除されました。 このため、FXMLファイル内にJavaスクリプトが記述されたJavaプログラムを実行すると、次のようなエラーが表示されます。
javafx.fxml.LoadException: JavaScript script engine is disabled.
これを回避するには、別途Javaスクリプトエンジンをインストールする必要があります。 JDKと親和性の高いJavaスクリプトエンジンには、下記があります。

Windowsシステム環境変数の確認・変更方法

PC [スタート]-[設定]画面を開き、「システム」をクリックします。
PC 画面左のメニューの一番下にある「詳細情報」をクリックします。 続いて画面右にある「システムの詳細設定」をクリックします。
PC 「システムのプロパティ」画面が開きます。 画面右下の「環境変数」をクリックします。
PC このような画面になります。 「システム環境変数」欄で、Windowsシステム環境変数の確認と変更ができます。 「新規」をクリックすると、新しい環境変数が追加できます。 任意の環境変数を選んだうえで「編集」をクリックすると、その環境変数が編集できます。 また「削除」をクリックすると、その環境変数が削除できます。
PC 「新規」をクリックするとこのような画面になります。 「変数名」欄に新しいシステム環境変数の名前を入力し、「変数値」欄に、そのシステム環境変数に設定する値を入力します。 「OK」をクリックすると、登録されます。
PC たとえば環境変数"Path"を選択して「編集」をクリックするとこのような画面になります。 複数のPathを指定するときは";"で区切りますが、この画面では各項目が行単位で編集できます。
任意の行を選んで「編集」をクリックすると、その行が編集できます。 「上へ」「下へ」をクリックすると、その行の位置が変更できます。 項目の優先順位を変更することができます。
「テキストの編集」をクリックすると、上の「新規」の画面と同様の表示になります。 すべての項目が";"でつながれた状態で編集できます。