• 記事をシェア
  •  
  •  
  •  
  • B! 
  •  

宇宙船アダプタ(SLA)

  • 高さ:28ft (8.5344m)
  • 直径:上部 12ft 10in (3.9116m) - 下部 21ft 8in (6.604m)
  • 重量:約4050lb (1.8387ton)
  • 製造:ノースアメリカン/ロックウェルインターナショナル

解説


AS07-03-1531 October 11, 1968 Apollo 7 S-IVB stage in Earth orbit Ed Hengeveld
Apollo Spacecraft/LM Adapter
SLA(Spacecraft-LM Adapter)は、直径の細いCSMと、直径の太いサターンブースターをスムースに接続するためのフェアリングの役目を持っている。 また、この中にLMを格納して宇宙へ運ぶためのペイロードベイとしての働きも併せ持っている。 そしてサターンブースターとCSMの間の制御信号を伝えるケーブルを内包し、CSMのSPSエンジンノズルの保護も行う。
SLAは分離可能な4枚の上部パネルと、サターンロケットの3段目、S-IVB上部に接続される固定パネル部分に分かれる。 これは厚さ1.7インチのアルミのハニカム構造の上に、断熱のための30/1000インチ(約0.8mm)の厚さのコルクシートを重て作られている。
KSC-69PC-30 February 1969 The Apollo 10 spacecraft is hoisted for mating to the launch vehicle
SLAとSMは、SLA上部円周のフランジにボルトで固定されている。 またSMからは、分離装置に電力を供給するケーブルが接続されている。 SMとSLA上部、そしてSLAの4枚の上部パネルは、3多重化された起爆装置によって分離される。 起爆装置には28個のcharge holdersがつながっており、SMとSLAの間、およびSLA上部パネルの境目に配置されている。 このcharge holdersそれぞれには2個の導火線が来ており、少なくとも一方が確実に分離を行う。 起爆装置が起動すると28個のcharge holdersが次々と発火していき、パネルとSMを分離する。 この発火は一瞬で完了する。
69-HC-1260 the third stage adapter is lowered into place over the Lunar Module during stacking in the VAB

4枚のパネルは、起爆装置で切れ目を入れられた後、次は固形燃料の"花火"の力で開かれる。 4基の"花火"が上部パネルのジョイント部、固定パネルのすぐ上に取り付けられており、上部パネルを2度だけ開く力を加える。 すると上部パネルは1秒に33~66度の速度でゆっくり外側に開いていく。 そして45度開いたところで、上部パネルはヒンジから外れる。
パネル外側のヒンジ部分にはスプリング・スラスターが取り付けられており、 上部パネルが外れると、それを押し出し、機体から遠ざける。 このスプリングは上部パネルを機体から約110度の方向に時速5.5マイルの速度で押し出す。
AS09-19-2919 March 3, 1969 The lunar module awaits extraction from Apollo 9's S-IVB stage Ed Hengeveld

切り離されたCSMはその場で180度回転し、その鼻先についているドッキングプローブを まだSLA固定パネルに取り付けられたままのLMの頭、ドローグにつっこみ、ドッキングする。 ドッキングが完了すると次にLMをSLAから切り離す。 LMがSLAと接続されている4点に取り付けられた、小さな起爆装置に点火される。 またギロチンカッターがLMとSLA(IU)をつなぐ信号ケーブルを切断する。 そしてスプリングの力でLMが押し出される。 切り離しの制御はSLAの内側、IUのそばに取り付けられた2基の制御装置によって行われる。
切り離しが完了するとCSMとLMはRCSを噴射してS-IVBから遠ざかる。 役目がすんだS-IVBは、やがて余った燃料を宇宙空間に放出し、その反動で回転を始める。 S-IVBも月への軌道に乗っているので、いずれCSMの後を追って月に到着する。 そしてLMの上昇段と同様月面に落下して月震を起こし、 科学者に月の組成を調べる機会を与え、その役目を終わる。