NASAアポロ計画 サターンVブースター
サターンロケット開発の歴史
サターンブースターが最終的にサターンI、サターンIB、サターンVとして飛行するまでに 1958年から1960年にかけて、非常に多くのステージとその組み合わせが検討された。 ステージは第一段となるS-Iステージから第五段となるS-Vステージまで、 5つのブースターからなる多段ロケットとして検討されていた。最初に検討されたのはサターンA-1と呼ばれる構成で、 第一段となるS-Iの上に、タイタンI型(Titan I)ブースターの第一段を第二段として搭載、 その上にセントール(Centaur)を第三段として使用するものであった。 サターンA-2は、サターンA-1の第二段として、4基のジュピター(Jupiter)を束ねたものを使用するデザインであった。
サターンB-1は、サターンA-1をベースとし、 第二段ステージを、4基のH-1エンジンを搭載する新造ステージに置き換えるデザインである。
サターンC-1は、実際にサターンI型として飛行したモデルで、 第一段としてS-I、第二段としてS-IVを使用。その上に第三段としてセントール(Centaur)を搭載した。
サターンC-2は、第一段としてS-I、第二段としてS-III、第三段としてS-IVを使用。 またミッションによって第四段としてS-Vを加える、というデザインであった。 ここで検討されていたS-IIIステージは、2基のJ-2エンジンを搭載した、 液体酸素とヒドロジンを燃料とするステージである。
サターンC-3は、S-I、S-II、S-IIIステージに加え、 ミッションによってS-IV、S-Vを追加する、サターンブースターの最終形である。 ここでのS-Iステージは、オリジナルな8基のH-1エンジンの推力を増強するか、 あるいは中央の4基のH-1エンジンを1基のF-1エンジンに置き換えることが検討されていた。
NASAはサターンA、Bの開発をスキップし、直接サターンCの開発を行うことを決定した。 しかしサターンC-2のデザインからはS-IIIを削除、代わりにS-IIを搭載するようデザインを変更。 またサターンC-3のS-Iステージは、4基のF-1エンジンを搭載するよう変更された。 さらにその後サターンC-2、C-3も開発を中止、 サターンC-4として現在のサターンVとほぼ同様のデザイン(S-I、S-II、S-IV)が確定。 さらに細部のデザインを見直したサターンC-5が、実際のサターンVとして飛行した。
そこで、サターンC-1はサターンIと呼ばれ、サターンC-5はサターンVと呼ばれるようになった。
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